皆さんは「月見だんご」といえば、どんなものを思い浮かべますか?

こんな形でしょうか?
テレビや季節の挿絵イラストでよく見るタイプですね。
でも、「こんなのじゃないよ!」と思った方もたくさんいらっしゃるはず。
私自、月見だんごといえばこれだと思っていました。
ところが、さにあらず。
月見だんごは、地域によってちがうんです!
大阪に越してきて「お月見をしよう」と思い立ち、上のタイプの月見だんごを探したけれど全然見当たらず…
売っていたのは、こういうもの。

里芋型あんこのせタイプ(大阪市 心斎橋花房)
白くてやや細長いおだんごにあんこが巻いてあって、ちょうど、赤福もちに似ています。
9月のお月見は芋名月。
ゆえに、里芋をイメージしているんだとか。
また、月に雲がかかっている様子に見立てているとの説も。
「ええ!?これが月見だんごなの?」と驚きつつ、
「ひょっとして、他にもいろんな月見だんごがあるのでは…」
とリサーチしてみました。
すると、あるわ、あるわ。
個性的な月見だんごがたくさん見つかり、大変面白かったので、ここでご紹介していきます♪
*以前「秘密のケンミンshow」でも、大阪と愛知の月見だんごについて取り上げられていたようですが、ここではさらに日本全国に範囲を広げて調べてあります。(オリジナル月見だんご分布図も作成!)
お月見の際の話のネタにどうぞ★
白丸タイプ

プレーンタイプ(群馬県高崎市 六郎)

あん入りタイプ(神奈川県 磯子風月堂)
ポピュラーな白くて丸いタイプにも2種類あるようです。
①何も入っていないプレーンタイプ
*団子自体に甘みのあるもの、無いものがある。
甘み無しの場合、あんこやきな粉、砂糖をつけて頂く。
②あんこが中にはいっているタイプ
中は小豆あん、黄身あんなど。プレーンタイプよりやや大きめ。
ちなみに…、私が見た目から勝手に想像していたこの月見だんごのイメージは、①。
三色団子のようなやわらかい食感で、団子自体が甘いもの。(あんこはつけない)
このタイプは、岐阜県と三重県でのみ、販売しているのを確認出来ましたが、歯ごたえがあって、あんこが添えてあるタイプの方がずっと多いようで…
イメージとのギャップを感じました。
しかし、私も一度おだんごを手作りした事がありますが、やわらかい食感のものを作るには技術や道具が必要で、素人が作ると、必然的に歯ごたえのある素朴なものになってしまうんですよね。
昔は自宅で作るのが当たり前だった月見だんごなのだから、三色団子のようなやわらかい月見だんごは少なくて当然なのかも。
串団子タイプ

香川県高松市 湊屋
中国・四国地方に多かったのが、この串団子タイプ。
団子をあんこでくるんであります。
他にもみたらしだったり、きなこをまぶしたりと、
いろんなバリエーションがある模様。
まんじゅうタイプ

青森県八戸市 しみず食品
ちょっと画像が小さいのですがおまんじゅうです。中はこしあん入り。
青森県・岩手県で販売されているようです。
それにしても、東北の知人に月見だんごのことを聞いても
そもそも「お月見をやったことがない」という返事が多かったですし、
ネットで調べても、ヒット数がほとんどなく…
ひょっとして、東北はあまりお月見をやらない地域なのでしょうか。
加筆 <2016年9月15日>
「くすり」さんより宮城県の月見団子についての情報を頂きました。ありがとうございます!
「本日、京都で月見団子を買って驚いた宮城県民です。
たしかに東北地方ではお月見はさほど盛んではないかもしれません。
学生時代に給食で食べたものは、黒ごまが外にまぶしてあるお団子でした。全国共通だったと思っていたのでびっくりしました……」
ご当地月見だんご
ここからは、その地域限定の個性的な月見団子をご紹介♪
へそ餅(静岡県)

白いおだんごなんですが、形に特徴が!
(血液中のヘモグロビンに酷似)
なぜこういう形なのかというと、こんな説が↓
『徳川家康の幼少時代、今川氏の人質として駿府城にいた時、三河からの付き人が元気に丈夫に育つようにとの思いから、餅に「へそ」を作り、そこにあんを添えて食べさせたのが初めだと伝えられています。』
へそをつくることと、丈夫に育つこととの関係がよくわからなかったのですが…。
きっと、昔の人のこどもを思う願いが込められているということなのでしょう。
しずく型タイプ(愛知県名古屋市)

名古屋市 菓宗庵
言われないと月見だんごとわからない!(バーバパパに酷似)
バーバパパ-263x300.jpg)
「バーバパパ」
三色団子が細長くなったようなこちらは、ういろうと同じ材料で作られているそうです。
やはり、里芋をイメージしてこういう形なんだそうですが、なぜこの3色なのかは不明。
フキャギ(沖縄県)

一番インパクトのあったのが、これ!
でもこれ、団子ではなく、白いもちのまわりに小豆をつぶさずにくっつけてあるんだそうです。
(つまり、おはぎ?)
小豆には魔除けの効果があるとされ、つぶすと効果が薄れるのであえてそのままの形に。
お味は、なんと塩味!(甘いのもあるそうです)
大きさは、おはぎの2倍くらいあるそうで、おなかいっぱいになりそうですね。
これを十五夜の夜、仏壇や火の神にお供えして、今年の豊作を感謝し来年の豊作を祈るとのこと。
お月見の風習自体も、本土とは全く違っているんですね〜。
☆画像提供元はこちら
まとめ***********************
さて、これまでの情報をまとめて分布図を作ってみると、こんな感じになります。

*実際には県内で、いろんなタイプの月見団子が混在している所もありましたが、ここでは調査できた範囲内で多数派だったものを表示してあります。
★こうして見ると、冒頭のイラストの白丸タイプ(あんこナシ)が主流の地域は関東〜中部の一部。
全国シェアで見ると23%しか無い事に!

つまり、多くの人が知っているあの月見だんごは、実際は、地域限定の食文化だったわけで…。
なのに、こんなにも全国的に知れ渡っているのは情報の発信地・東京の文化だったから、ということなのでしょうか。
なんだか、いかにメディアの力が大きいかを実感してしまいました。
★串団子タイプが中国・四国地方に固まっています。
愛媛県松山市の出身の方に聞いたところ、お花見の時も串団子を持って行くそうです。
ひょっとしてこちらでは「イベントのときは串団子」なのでしょうか?
★私が初めて大阪で遭遇した「里芋型あんこのせタイプ」は、大阪・京都・滋賀で見られるタイプだったことがわかります。
★白で表示しているのは、情報が得られなかった地域です。
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周囲の人に聞いたり、和菓子屋さんに問い合わせたり、ネットで検索したりと頑張って調べましたが、なにせ日本は広い!
一人で調べるには限界が…。読んで「実情と違う」と思った方もおありかと思います。
「この辺はお月見をやってない」とか、「地元にこんな月見だんごがあった」
等の情報がありましたら、よかったらこちらのFacebookにお寄せくださいませ☆

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