怪しすぎる!100年前のサンタクロース

クリスマスのまえのばん 表紙

一目見て、違和感を感じるクリスマス絵本

 

クリスマスのまえのばん

作: クレメント・C・ムーア

絵: ウィリアム・W・デンスロウ

訳: 渡辺 茂男 福音館書店  

シックな布製の装丁に、レトロな絵柄が目を引く一冊。

実はこれ、昨年のクリスマスにサンタさんがクリニックに置いていってくれた100年前初版のクリスマス古典絵本なのです。

きっと、この本を手に取った方は、サンタの風貌にかなり違和感を覚える事でしょう。

なぜならば、ここに登場するサンタクロース(セントニコラス)が、怪しすぎるんです!

 

スタンダードなサンタ像

 

上の絵本『サンタクロースっているんでしょうか?』偕成社)のように、サンタクロースといえば

”赤い服に、ふさふさの真っ白いおひげ。

大きな体の恰幅の良い、やさしそうな瞳のおじいさん”

というイメージが世界中で定着していますが…

 

これが、サンタ…??

 

『クリスマスのまえのばん』での設定は「小人(背の低い人)のおじいさん」。

赤いサンタよりもちょっと若くて、目つきがややギラついており…

鼻の赤さとあいまって、まるで 一杯ひっかけたテンションの高いオジサンみたい…。

そして着ている黒いコートと、くわえているパイプがダーティーなイメージに拍車をかけ、さらに不審者感をアップしています。

こんな人に夜中部屋に侵入されたら、たとえプレゼントをくれたとしてもこどもはおびえるに違いない…。

 

ドイツの最古のサンタクロース

 

なぜメジャーなイメージからここまでかけ離れたサンタ像なのか不思議に思い、色々調べてみました。

実は、サンタクロース(セントニコラス)のイメージは最初から固定されたものだったわけでなく、ここに描かれた「背の小さいおじいさん」の他にも妖精や恐ろしげな子鬼まで、長い歴史の中でいろんなタイプが描かれていたのだとか。

 

コカコーラのポスターに描かれたサンタ像

 

やがて、黒い服が赤い服になったり、小人から普通の背丈のおじいさんになったりと次第にサンタ像が淘汰されていき…

1931年にコカコーラのポスターに描かれたサンタクロースのイメージが 世界中に広まって、今に至る…と、

いわばサンタクロース像のグローバリゼーションの歴史があった、ということらしいです。

 

*この辺の歴史を非常に詳しく解説されたサイトがこちら

 

それにしても、黒いコートの怪しげなサンタを見た後では、最初にサンタの服を赤で描いた人(19世紀の画家テオドア・C・ボイド)のセンスに 拍手を送りたくなります!

やっぱり赤いサンタだからこそ、世界中の人気者になったのでしょうね

長い歴史を経ながら世界中の人々が共有して、イマジネーションをふくらませてきたファンタジー。

それがサンタクロース伝説だと気付かせてくれる絵本でした。

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